昇任抑制

昇任抑制について

昇任抑制については記憶にある限りですと、平成24年(2012年)ごろの防衛白書に昇任を抑制すると明記されておりました。

 

昇任を抑制する理由としては、階級・年齢構成の見直しとあります。

 

構成の見直し?って思う方もいるかも知れませんが、自衛隊も日本社会の良き伝統である終身雇用制度を継承しており入隊後は懲戒処分等をもらわなければ、ほぼ年功序列的に昇任していきました。これを繰り返してきたことで階級構成のバランスが崩れていきます。

 

 

上記は簡易的な図ですが、組織というものは理想はピラミッド体系です。

 

しかしながら、自衛隊は年功序列的に昇任させていきました。また、少子化の影響もあって入隊者数が減少していきました。様々な要因があり、組織体系がアンバランスな逆三角形的なものになっていきます。このアンバランスな組織体系がもたらす大きな弊害が2つあります。

 

1つ目は、人件費の高騰です
当たり前ですが昇任することで給与は上がっていきます。隊員個人にとっては非常に喜ばしいことですが、国には予算があり防衛費もその国家予算から捻出されております。人件費が高騰することで防衛費が圧迫されていきます。

 

2つ目は、指揮系統の複雑化です
隊員個々の能力は昇任の有無に関わらず大差はないでしょうが、組織としては中間管理職が増えることで指揮系統が複雑化し統制が取りづらくなります。一般的な組織であれば多少の複雑化は目を瞑ることはできるかも知れませんが、迅速性が求められる国防の任務を担っている自衛隊には許されません。

 

この2つの弊害を解決するべく、始まったのが昇任抑制です。

 

開始されてから10年経過し、組織体系のアンバランスさは徐々に解消されつつあると思います。ただ、自衛官の定年延長もすでに始まっており抑制はいつまで続くのか分かりません。ひょっとすると、これがスタンダードになる可能性もあるかもしれません。

 

ただ、その一方で優秀な人材は昇任抑制に関係なく、能力次第でどんどん昇任させていき、将来は組織の中核である幹部自衛官や准曹士先任を目指してもらうという動きも少なからずあると聞きました。

 

言い換えれば、全体的な昇任スピードは抑制されるものの並以上の能力や努力を惜しまない人間に関しては将来有望という評価を受け、どんどん昇任していきます。

 

組織が腐敗しないためにもこの能力評価制度は逆に良かったのではないかと思います。学校のような短い期間であれば年功序列でもいいんでしょうが、人生を捧げる職に就いてまで年功序列のみだと努力が無駄になってしまいますからね。何より、それによって組織が腐敗し、国防という崇高で唯一無二の重責を担っている自衛隊がポンコツ集団になってしまっては話になりませんからね。

 

結論

昇任抑制は確かにあります
そして、いつまで続くか分かりません。

 

おそらく、階級構成のバランスが正常化するまで続くのでしょう。

 

ただ、悪い面だけではありません。
努力して結果を残していけば抑制以前と同等以上のスピードで昇任できます

 

これはプロスポーツ界と同じです。
プロスポーツ界は先輩後輩関係はあれど年俸の高さは年齢ではなく、活躍した度合いで決まります。

 

結果さえ残せば昇任スピードは以前と変わらない!

 

※努力だけではダメ 結果を残してこそです。